無農薬管理の条件下で、芝草を健全に成育させるには、育成環境の改善の他、耐病虫性品種の育成が求められます。
千葉県農業総合研究センターは、日本芝最大の病害でありゴルフ場のフェアウェイに多く見られるラージパッチ病に強く、冬期に緑を保持させるオーバーシート適応性に優れた「ちばフェアグリーン」を育成しました。管理に手間がかからないことから、ゴルフ場のほか、公園、運動場、校庭芝生化へ利用や、都市緑化用として適している芝生です。
【ちばフェアグリーンの形態】
株型 やや直立
ほふく茎の密度 密
葉色 濃
葉身長 やや短
葉身幅 やや狭
【品種登録概要】
(1) 登録番号 第13775号
(2)農林水産植物の種類 しば
(3) 登録品種の名称 ちばフェアグリーン
(4)登録の有効期間 2006年2月27日から25年間
病気に強い
■ラージパッチ病に強い
ラージパッチ病はフェアウェイに多く発生し、病害対策に使用する農薬は全使用量の40%を占めています。「ちばフェアグリーン」は、日本芝(コウライシバ)の最大の病害であるラージパッチ病に対して今までの品種で最も強く、安定したラージパッチ耐病性を持つことが確認されています。この特性により、無農薬・減農薬管理を実現し、管理コストを軽減できます。
■カーブラリア葉枯病に強い
コウライシバでは、ラージパッチとともに、犬の足跡状に枯死するカープラリア葉枯病の発生が問題となります。
「ちばフェアグリーン」は、在来コウライシバに比べて安定した耐病性を示します。
ラージパッチ病とは
カープラリア葉枯病とは
密できめ細かい芝
「ちばフェアグリーン」は、葉幅が2.2㎜と狭く、細葉タイプのコウライ芝の形態を示します。茎密度が高く、比較的密できめ細かい芝生を形成するため、刈高10㎜でも健全に成育します。
緑が長持ち
日本芝は、11月以降には冬枯の遅い品種が求められます。「ちばフェアグリーン」も葉色は初冬期(12月上中旬)まで濃い緑色を保ちます。
繁殖力・再生力
「ちばフェアグリーン」は、ほふく茎の伸長速度が極めて速く、傷害によって芝生が裸地化した場合でも短時間に裸地部分を再被覆し、高品質な芝生地の維持が可能です。
オーバーシーティングからの強い復活力
コウライシバは成長が遅い芝であるため、オーバーシーディングする洋芝が強いとコウライシバの復活が妨げられ、ひどいときには裸地になることがあります。「ちばフェアグリーン」をフェアウェイなどに張った場合、冬に枯れないペレニアルライグラス(寒地型の芝)の種子をその上に播いても、翌年5月以降、再びコウライシバが旺盛に伸長します。
オーバーシーティングとは