播種工法

種子から芝生を造成する工法である。種子が入手できれば造成可能であり、ポリスタンド型のターフも容易に造成できる。また、施工費、材料費も安く、施工自体の工期は短い。しかし、施工適期が限られ、適切な初期養生が必要となり、ターフの完成までに時間が掛かるという欠点もある。そのため気象条件の影響を受けやすく、集中豪雨や強風の被害も大きい。



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施工適期

種子の発芽適温やその後の根の成長に必要な地温が確保できる時期が適期であり、それ以外の時期の施工には特別な養生が必要である。

芝草種子の発芽適温(Beard 1973 一部改)
  1. レッドフェスク、シープフェスク
  2. コロニアルベントグラス、クリーピングベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、カナダブルーグラス
  3. チューイングフェスク
  4. ベルベットベントグラス、アニュアルブルーグラス、メドウフェスク、トールフェスク、オーチャードグラス、レッドトップ、ライグラス類、チモシー
  5. バッファローグラス、カーペットグラス、バミューダグラス
  6. バヒアグラス
  7. ゾイシア


初期管理期間

通常の工法で播種し適切な初期管理を行った場合の初期管理期間及び使用開始可能期間は、下記の通りである。

タイプ 施工時期 使用開始可能時期 初期管理期間
暖地型 3月〜6月 9月 高温期の約 3〜4カ月
寒地型 3月〜6月 6〜9月 生育期の約 3カ月
9月 12月 生育期の約 3カ月
10月〜11月 4月〜5月 生育期の約 3カ月


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播種量

芝草種子 播種量の決定は、ターフの種類や使用目的、土壌条件、施工時期などによって大きく異なるが、通常は純度、発芽率、1g当りの種子粒数などを用いて成立希望株数を計算する。

理想の株数は利用目的や草種によって異なり、クリーピングベントグラスのパッティンググリーンで30,000株/m2、サッカー場など激しい使われ方をする寒地型スポーツターフで18,000〜25,000株/m2、公園などの芝生で15,000株/m2とされている。早期緑化を目指す場合は株数を増やすが、多すぎると肥料の要求量が高くなり、また通気が悪化し病害の発生の一因となることもある。

播種量産出の計算式
S=N/(Q×(P/100)×(G/100)×(1−α))
S : 播種量 (g/m2)
P : 純度 (%)
G : 発芽率 (%)
Q : 1g当りの種子粒数
N : 成立希望株数
α : 気象状況などによる不発芽と幼苗時枯死の割合 (1〜0)

播種適期からはずれるに従い不発芽と幼苗時枯死の割合は高くなる。また、適切な初期養生をすることにより低くなる。適切な初期養生をする場合は、α=0.5 程度で計算する。

芝草種子の1g当りの粒数は、農産物であるため収穫した年やロットによって異なるが、標準的な数値は下表である。

芝草種子の1g当りの粒数
草種名 1gの粒数
寒地型芝草
ベントグラス類
 コロニアル・ベントグラス 13,000
 クリーピング・ベントグラス 13,000
 レッドトップ 12,000
 ベルベット・ベントグラス 24,000
フェスク類
 トール・フェスク 600
 クリーピング・レッド・フェスク 1,000
 チューイングフェスク 1,000
 ハード・フェスク 1,100
ライグラス類
 アニュアル・ライグラス 500
 ペレニアル・ライグラス 500
ブルーグラス類
 ケンタッキー・ブルーグラス 4,500
 ラフ・ブルーグラス 5,200
その他の寒地型芝草
 チモシー 2,500
 オーチャードグラス 1,400
暖地型芝草
バミューダグラス 4,000
ゾイシア類
 ノシバ 1,500
その他の暖地型芝草
 バッファローグラス 100
 ウィーピングラブグラス 4,000
 センチペートグラス 900
 カーペットグラス 2,500
 バヒアグラス 400


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種子設計

主としてミックスブレンドなどポリスタンド型ターフを造成する場合、草種や品種のバランスを考慮し、品種毎の播種量を決定する。それぞれの草種、品種の欠点を補うような組み合わせが基本であり、用途や施工時期によって決定する。

通常各々の品種の重量比で表示し、上記の算出式で各草種ごとに算出する。

ポリスタンド型の場合、特に草種間の発芽までの時間の差や生育の速度の違いを考慮する必要がある。



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種子の品質

ブルータグ 普通種のことをコモンといい、芝生用に限らず牧草用として生産販売されている。それに対して芝生用あるいはのり面緑化用として育種された品種が近年増加している。コモンの場合、厳密な品質管理をされていないものもあるようで、最低限の保証しかしないものが多い。品種の種子は下記のようにかなり厳密な検査に合格している。

採種した種子は、生産種子会社で検査を行うとともに、ISTA(世界種子検査機構)の指定する検査機関で発芽率、きょう雑物の混入、純度、病害虫の有無などを検査し、合格したものが証明種子(CertifiedSeed)であり、原袋の上部にその旨を明記したブルータグが付けられる。その後、輸出時の検疫を受け、合格したロットのみが輸出される。種子生産者によっては、証明種子より厳格な基準を設定し、それに合格したロットのみを出荷するところもある。

芝草種子の原袋:ペレニアルライグラス3品種 わが国に到着した種子は検疫を受け、合格したものが輸入会社に引きとられる。輸入会社または種子販売会社において、入荷した各ロット毎に発芽率、純度を検査することが多い。

原袋での納入されるものはタグが付けられているが、国内で混合処理などをされる場合は、原袋を開封した時点でタグの保証効力がなくなるため、輸入会社、あるいは種子販売会社の保証書が発行される。

証明された発芽率は、種苗法に基づいた発芽試験によるため、実際の現場での発芽率とは異なる。また、種子の発芽率は保存状態によって大きな影響を受けるので、専用の保存施設以外での保管には注意が必要である。特にエンドファイトは種子の保管状態によって、活性が大きく低下するおそれがある。



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覆土と転圧、レーキング、ディンプリング

ほとんどの芝草種子は好光性であり、発芽にはある程度の光が必要である。特にブルーグラス類やゾイシア(ノシバ)は温度や湿度が十分でも700ルクス程度の光がないと発芽しない。逆にフェスク類やバミューダグラスは温度や湿度が十分の場合は光がなくても発芽するが、温度が足りない時に光を与えるとよく発芽するという性質を持つ。

レーキング 良好な発芽には種子が土と密着していなければならない。発芽に必要な水分が、土壌表面から供給される。

そのため覆土をする場合は極力薄くする必要があり、表面に混入する場合は深さが10mmを限度とする。適度の転圧も重要である。

覆土はせずに、レーキングを行うことも多い。通常、播種の前後、縦横の2方向にレーキがけを行う。オーバーシードなどレーキングを行えない場合や大面積の場合は、トラクターによりスチールマットを牽引し、種子の擦り込みを行う。

近年注目されているのはディンプリングの効果である。これは土壌に適度な凹凸を付けることにより、発芽を向上させる技術である。凹部に落ちた種子は水分条件が平面上より有利であり、また風などによる流亡も少ない。

ディンプリング
ディンプリングの効果 ディンプリングに適切なタイヤパターン
発芽後の状況
  左:無処理
  右:ディンプリング
ディンプリングに適切な
タイヤパターン


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